応用例
アイスクリーム製造 - 安定剤と乳化剤の水和
アイスクリームの原材料に含まれる安定剤と乳化剤の比率はごく小さい(通常1%以下)ですが、大きな役割を持っています。
- 凍結融解の安定性 - 液中で分散されると安定剤は水和し、水を連結した小滴に結合しします。混合液の水の”自由”な流動を制御することで、冷凍の工程で大きな氷結晶が生成されるのを防ぎます。
- 増粘、ゲル化の働きによってコクや風合い(食感)に寄与します。
- 低脂肪製品では安定剤はゲル化剤や充填剤の役割をし、通常製品では脂肪分が作り出すコクや風合いを出します。
- 乳化剤はアイスクリームミックス内の脂肪分を均一に分散させるために添加し、製品がバターのようなべっとりとした風合いにならないようにします。
プロセス
さまざまな種類の安定剤や乳化剤があり(下記リスト参照)、十分に機能させるために複数の安定剤の配合が使用されます。安定剤と乳化剤の複合品もあります。
安定剤:
- タンパク質系: ゼラチン、卵白
- ガム: グアーガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム
- 海藻抽出: アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコール(PGA)、 カラギーナン
- セルロース系: カルボキシメチルセルロース(CMC)、微結晶セルロース(MCC)
乳化剤:
- グリセリン脂肪酸エステル
- ポリグリセリン脂肪酸エステル
- ソルビタンエステル
一般的なアイスクリームミックスの調製については別個にリポートがあります。安定剤と乳化剤を完全に分散させ水和させるには、下記の工程条件を満たす必要があります:
- 粉体/液体混合システムでは粉体をすばやく投入・混合し、溶液中に均一に分散させる能力が必要
- 安定剤や乳化剤は本液に加えると凝集しやすい。混合機でこの凝集体を分解する必要がある
- 歩留りを上げるために安定剤や乳化剤は可能な限り小さな粒子サイズまで細分化する必要がある - ある種の添加剤は粒子サイズが十分に小さくされないと機能しない
- 添加剤によっては強いせん断をかけて完全に水和させなければ作用しない場合がある
課題
従来の粉体/液体混合設備やアジテーターではいくつかの課題が発生します:
- 粉ダマの発生を抑えるために粉末を一定量ずつ投入する必要がある
- 凝集を抑えるために粉体の予備混合をすることがあるが、コストや工程時間の増大につながる
- 従来の方法では凝集体を分解する効率的な剪断がかけられない
- 粉体を十分に分散させ、均質にするのに長い時間がかかってしまう
- 分散が不十分だと部分的に水和した材料が熱交換器の壁面に凝着し、熱伝導の効率が悪くなる
- 凝集体によりホモジナイザーの働きを妨げ、溶液が不均一になってしまう
- 頻繁に洗浄する必要があり、結果としてライン停止や洗浄剤、原材料のロス等によるコスト増大につながる
- 不完全な水和による原材料の歩留りの低下
- 歩留りを上げ、工程の効率を上げるために必要以上の添加剤や材料が使用される
ソリューション
こうした問題は既存のプロセスにシルバーソン インライン型ハイシアミキサーを組み入ることで対処することができます。原理は下記の通りです。
Stage 1
ローターブレードの高速回転によって強力な吸引が生まれ、液と粉体/固形の材料がワークヘッド内に引き込まれます。材料は予備混合をせずに投入することができます。
Stage 2
ワークヘッドで材料に強力な剪断がかけられます。ロ ーターブレードとステーター内壁のクリアランスで凝集体が分解されます。こうして凝集のない均質な溶液がすばやく作り出されます。
Stage 3
溶液はステーターを通って強力に押し出され、同時に新しい材料が連続的にワークヘッド内に引き込まれます。短時間の循環ですべての原材料がワークヘッドを通過し、水和が促進されます。
メリット
- 粉末材料の予備混合が不要
- 凝集のない均一な混合
- 混合時間の大幅な短縮
- 洗浄頻度が低い
- 増粘剤を完全に水和し、他の材料が均一に分散されるため、原材料の歩留りが大幅に向上
- 安定した品質でバッチ・ロット間のばらつきが少ない
処理量、原材料の配合と種類、混合物の粘度などに応じて、各工程に最適なシルバーソンミキサーを選択します:
インライン型ハイシアミキサー
- 既存の設備への取り付けが容易
- 粉体を液中に取り込むための高効率アジテーターをタンク内で併用
- 空気の混入がない
- セルフポンプ効果
- タンクの内容物の移送が可能
- 高サニタリーモデルあり
- 高粘度対応モデルあり
フラッシュミックス
- 大きな処理量に対応
- 大量の粉体をすばやく投入・混合することが可能
- 空気の混入が少ない
- 洗浄が容易
- 高粘度液の処理に対応
- 従来よりも高温度での処理に対応
- 操作が容易