掘削液の調製
掘削液(もしくは掘削泥)は、掘削屑の除去、ドリスストリング(掘管)の冷却と潤滑、地表面下圧の調整など、いくつかの役割を果たします。
水平掘削には水ベースの泥、垂直掘削には粘土(ベントナイト)を水に分散させたものが使用されます。ガスや油などの高い圧力が想定される深い井では重晶石や赤鉄鉱などの不活性固形が重量を高めるためにベントナイト懸濁液に加えられます。水/油のエマルジョンの掘削液は水ベースのものよりも潤滑性や温度の安定性が高いため、深い井を掘削するのに使用されます。従来ディーゼルが一般的に使用されてきましたが、環境への影響から、最近では毒性の低い鉱物油、合成物、エステルなどが使用されるようになっています。
少ないガム比率で高粘度を達成できるキサンタンガムがレオロジー添加剤としてよく使用されます。キサンタンガムはさらに、水や塩水のマッドを安定させる特性があります。
不要になった井の埋戻しや埋め立てなど、廃棄掘削泥の再利用も進められてます。
下の動画は、掘削泥に広く使用されるベントナイトの分散方法を説明しています。
プロセス
重晶石は研磨性が高いため、ローター/ステーターのクリアランスの小さいミキサーでの分散は望ましくありません。このリポートではベントナイトや他の流動調整剤の水や鹹水への分散と水和、また水/油エマルジョンの調製について説明します。これには複数の工程条件を満たす必要があります:
- 混合機械・設備は粉体をすばやく液中に取り込み、分散させることが必要
- ベントナイト粒子は、周囲の液に触れる表面積を最大にしゲル化効果を最大限引き出すためにできる限り小さく細分化する
- 機能を引き出すために一定の剪断が必要
- 粘度が上がるため、タンク内の流動を維持する
- 水/油エマルジョンの場合、安定した均一なエマルジョンにするために効率的に液滴を小さくする
課題
従来のアジテーターでは次のような課題が生じる:
- 水に加えたときに粒子が凝集しやすい。従来のミキサーでは凝集体を効果的に分解できない
- 従来のアジテーターでは効果的に剪断がかからず、粒子径を十分に小さくできないため、ゲル化効果を引き出すことが難しい
- ベントナイトの予備溶解のために追加タンクが必要になる。通常この工程では最低でも4時間かかる
- 水/油エマルジョンは、適切に混合・安定化されていないと分離してしまう
ソリューション
シルバーソンハイシアミキサーならこれらの課題に対応することができます。従来の方法よりも大幅に短縮された時間で凝集のない安定した水中油エマルジョンを作り出します。原理は次の通りです:
Stage 1
ローターの高速回転によって強力な吸引効果が生まれ、水とベントナイトがワークヘッド内に引き込まれ、強力な剪断がかけられます。
Stage 2
ローターとステーターの間のクリアランスで材料に粉砕効果が加えられて凝集が分解され、液体と固形分の粒子の接面が大きくなりながら混合されます。
Stage 3
材料がステーターを通して押し出されると同時に新しい材料がワークヘッド内に引き込まれます。凝集分解と強力な混合の作用によって凝集のない均一な分散ができ、水和・溶解が促進されます。
メリット
- 既存の設備への取り付けが容易
- ローターとステーターの強力な剪断作用によって頑強な凝集を分解
- すばやい粉体の分散
- ローターの高速回転による工程時間の短縮
- 歩留り率の大幅向上
- すべての材料に確実にローター/ステーターの強力剪断がかけられる
- 液滴が細分化され、安定した水中油エマルジョンが作り出される
- 大量の材料をタンク内で処理するのではなく、インラインミキサーはワークヘッド内で少量ずつ集中的に確実に処理し、工程のエネルギー効率が良い
掘削泥/液はインラインミキサーの循環で作ることができますが、改造したフラッシュミックス粉体/液体混合システムの連続シングルパスでも同様に作ることができます。特にオンショアでこの方法がとられます。
インライン型ハイシアミキサー
- 粉体を液中に取り込み、タンク内を均一に 保つための高効率あっじテーターをタンク 内で併用
- 大きな処理量に最適
- 空気の混入がない
- 既存の設備への取り付けが容易
- セルフポンプ効果
- 製品の粘度により、タンクの内容物の移送が可能
- マルチステージユニットあり
フラッシュミックス
- 必要に応じてすばやく掘削泥/液の調製が可能
- 最大40トン/時の生産が可能で、貯蔵/在庫の必要性が低減
- 大量の粉体をすばやく投入・混合することが可能
- 洗浄が容易
- 操作が容易
- 大きな処理量に最適
- 空気の混入が少ない
- 高粘度液の処理に対応
- 従来よりも高温度での処理に対応