応用例
アイスクリームミックスの調製
アイスクリームミックスは全乳、スキムミルク、クリーム、あるいは水にいくつかの材料を加えて作られます。
プロセス
一般的に下記の方法で調製されます:
- 計量された液体材料がタンクに入れられ、続いて投入される材料の溶解や水和を促進するために熱を加える
- 粉末材料(ミルクパウダー、砂糖、ホエイパウダーなど)が液に投入され、分散されるまで混合する
- 安定剤と乳化剤を投入する。粉ダマになったり液中で浮いてしまうのを抑えるために砂糖などの他の材料と予備混合(乾式)する場合がある
- 脂肪分を加える。本液に入れる前にバターや他の固形脂肪は別のタンクで溶かしておく場合がある
- 85°C前後で殺菌する
- 通常高圧ホモジナイザーなどに通して溶液を均質化する
- ホールド(もしくは熟成)タンクでエイジングし、安定剤を溶解させて脂肪分を結晶化させる
- 香味料や着色料を添加
- ホイップ制御の特殊冷凍庫で混合液を冷凍
多くの国で材料や表示に関する規定が定められています。こうした規定によって特定 の原材料の使用が制限され、脂肪分や全固形分の最少含有量が示されています。
成分 |
標準 % |
機能 |
原料 |
---|---|---|---|
脂肪 | 5 - 12 | 製品のコクと食感を作り出します。 | 全乳、 クリーム、 バター、 バター油。 非牛乳油脂の使用が認められている場合、 パーム油やパーム核油、ココナツ油などが使用されます。 通常これらは融点の制御のために水素付加されます。 |
無脂肪乳固形分(MSNF) | 5 - 12 | アイスクリームになめらかさと風合いを作り出します。 | タンパク質、 ラクトース(乳糖)、 牛乳に含まれるミネラル塩。 さらにスキムミルク粉末や使用が認められている場合にスキムミルク代用乳が無脂肪乳固形分の補助として使用されます。 |
砂糖 | 10 - 20 | 砂糖は甘みを加えるだけでなく、 粘度を出す固形分の補助をし融点と結晶化の制御の役割があります。 | 顆粒状、 もしくはシロップ状のスクロース(蔗糖)、グルコース(ブドウ糖)、 フルクトース(果糖) 、 ラクトース(乳 糖)、 転化糖などが使用されます。 |
安定剤 | 0.3 - 0.5 | 別リポート参照。 | |
乳化剤 | 0.3 - 0.5 | 別リポート参照。 | |
香味料 | 0.2 - 0.4 | 多くの国では香味料の使用には規定が定められています。 天然、 人工の香味料があります。 | アルコールに抽出されたバニラが広く使用されています。 さらには果汁、 ナッツ、 トフィー( バターキャラメル)が使用されます。 チョコレートアイスにはココアが使われています。 |
着色料 | 0.01 - 0.02 | 規定に従い、 粉末やペースト状の着色料が使われます。 | 例: アナトー、βカロテン、クルクミンなど。 |
課題
粉体を液体を混ぜるのは混合でも非常に難しい作業です。従来の粉体・液体混合の設備アジテーターではいくつかの課題が生じます:
- 粒子が粉ダマにならないように一定量ずつ調整して粉体を投入しなければならない
- 粉体の予備混合はコストや工程時間の増大につながる
- スキムミルクパウダーやホエイパウダー、ココアパウダー(チョコレートアイスに使用)は凝集性が高く、取扱いや投入が難しい
- 安定剤や乳化剤は非常に凝集しやすく、取扱いに特別の注意が必要
- 従来の方法では凝集体を分解するために必要な剪断がかけられない
- 完全に分散させ十分に安定した混合を得るのに時間がかかる
- アイスクリームがざらざらした”粉っぽい”食感にならないよう、ココアを使用する場合にはココアを十分に溶液中で分散、混合させる必要がある
ソリューション
シルバーソン ハイシアミキサーならこれらの課題に対応することができます。 次の原理で処理します:
Stage 1
ローターブレードの高速回転によって強力な吸引が生まれ、液と固形分/粉末の材料がワークヘッド内に引き込まれます。予備分散をせずに材料を投入することが可能です。
Stage 2
引き込まれた材料はワークヘッド内で強い剪断をかけられます。ローターブレードとステーター内壁のクリアランスで粉ダ マが分散させられ、凝集のない均質な混合液がすばやく作り出されます。
Stage 3
溶液はステーターを通して押し出され、同時に新しい材料が連続的にワークヘッド内に引き込まれます。短時間の循環で全ての原材料がシルバーソンワークヘッドを通過します。
メリット
- 粉末材料の予備混合が不要
- 凝集体のない均一な混合
- 安定したエマルジョン
- 混合時間の短縮
- 増粘剤を完全に溶解し、他の材料も十分に分散させるため、原材料の歩留り率の大幅な向上
処理量、原材料の配合と種類、混合物の粘度などに応じて、各工程に最適なシルバ ーソンミキサーを選択します:
フラッシュミックス
- 大きな処理量に対応
- 大量の粉体をすばやく投入・混合することが可能
- 空気の混入が少ない
- 洗浄が容易
- 高粘度液の処理に対応
- 従来よりも高温度での処理に対応
- 操作が容易
インライン型ハイシアミキサー
- 大きな処理量に対応
- 既存の設備への取り付けが容易
- 粉体を液中に取り込むための高効率アジテーターをタンク内で併用
- 空気の混入がない
- セルフポンプ効果
- タンクの内容物の移送が可能
- 高サニタリーモデルあり
- 高粘度対応モデルあり